「また電気料金が上がるのか…」「冬にまた停電したら事業が止まってしまう」。
北海道で事業を営む経営者の皆様にとって、エネルギー問題は常に頭の痛い経営課題ではないでしょうか。
2018年の胆振東部地震によるブラックアウトの経験、そして高止まりを続ける北海道の電気料金は、道内企業にとっては喫緊の課題です。
本記事では、北海道の気候とエネルギー事情を知る専門家の視点から、自家消費型太陽光発電がなぜ今、道内企業にとって必要なのか、そして導入で失敗しないための具体的な方法を、詳しく解説します。
この記事を読めば、以下のことが明確になります。
- ◆なぜ今、太陽光発電の導入を急ぐべきなのか、その3つの根拠
- ◆貴社の状況に最適な導入モデルの選び方
- ◆北海道特有の環境で失敗しないための2つの絶対条件
第1章:待ったなし!北海道企業が自家消費型太陽光発電を急ぐべき3つの理由
上述の通り、「何もせず様子見する」は、もはや許されない状況です。事業を取り巻く環境は、急速に変化しており、北海道にあった対策を講じていく必要があります。
理由1:電気料金の高騰リスク
皆様が毎月支払っている電気料金は、
「基本料金」に加え、
燃料価格の変動を反映する「燃料費調整額」と、
再生可能エネルギーの買取費用を賄う「再エネ賦課金」
で構成されています。
特に2021年後半から、世界的なエネルギー価格の上昇を受け、燃料費調整額はかつてない水準まで急騰しました。
政府の補助金によって一時的に負担は緩和されましたが、その補助金も終了し、再び高止まりの状況が続いています。
今後も国際情勢や為替の変動によって、電気料金はいつ高騰するかわからない、極めて不安定なコストとなっています。
理由2:2018年北海道ブラックアウトの教訓
電気がなければ事業が完全に停止することを、北海道に住む私たちは痛感しました。
サプライチェーンが複雑化した現代において、数日間の事業停止は、顧客からの信頼失墜に直結します。
そして、台風や大雪だけでなく、大雨による停電リスクも全国各地で増加しています。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電源の確保は、災害時にも被害を最大化させない、あるいは早期に復旧させるための事業継続計画(BCP)の核です。
理由3:「脱炭素」に対応できない企業が淘汰される時代の到来
「うちは環境経営なんて関係ない」と思っていませんか? それは大きな間違いです。
Appleやトヨタのようなグローバル企業を中心とするサプライチェーン全体で、脱炭素化は取引の絶対条件になりつつあります。
北海道版の「ゼロカーボン北海道」もその流れを加速させます。
CO2削減に取り組まなければ、数年後には「取引できない会社」になってしまうかもしれない。
自家消費型太陽光発電は、CO2排出量を直接的に削減できる、分かりやすい取り組みの一つなのです。
第2章:道内企業に最適な導入モデルは3択!自社所有・PPA・リース
自家消費型太陽光発電の導入方法は、大きく分けて3つの選択肢があります。貴社の財務状況やエネルギー戦略によって、最適な方法は異なります。それぞれの特徴を以下の表で比較してみましょう。
① 自社所有モデル | ② PPAモデル | ③ リースモデル | |
---|---|---|---|
発電所の所有権 | 自社 | PPA事業者(第三者) | リース会社 |
初期費用 | 必要(自己資金・融資) | 不要 | キャッシュフロー上は不要 |
維持管理費 | 必要 | 不要 | 固定資産税や保険料はリース会社負担 |
電気料金削減効果 | 高い | 限定的 | リース料の負担はあるが、一定の効果あり |
契約期間 | なし(自社資産) | 15年~20年程度(条件による) | 10年~15年程度(条件による) |
● 長期的な利益を最大化するなら「自社所有モデル」
初期投資はかかりますが、発電した電気はすべて無料となり、電気料金の削減効果を最大化できます。システムの耐用年数は20年以上とされており、一般的に7年~12年程度で初期投資を回収した後は、発電する電気がそのまま純粋な利益となります。長期的に見れば、最も経済的メリットが大きいモデルです。
● 初期費用ゼロで始めたいなら「PPAモデル」
「PPA」とは電力販売契約の略で、PPA事業者(第三者)が屋根に無償で太陽光発電を設置し、そこで発電された電気を、安価な固定単価で買い取って使用するサービスモデル。最大のメリットは、初期投資や設備の維持管理の手間が一切かからない点です。ただし、設置にあたっては審査があるため、条件によっては設置不可となる可能性もあります。さらに、契約期間が長期にわたるため、その間に建物の建て替え計画などがないか慎重に検討する必要があります。
● 利益をある程度高め、一定の費用を抑えたいなら「リースモデル」
他の製品同様に太陽光発電でもリース契約を実施しています。メンテナンス費用などの維持管理費やリース料が必要となりますが、契約期間がPPAモデルに比べて短くなることから、リースを活用することも増えています。
ただし、リース会社の審査があるため、設置不可となる可能性があります。
第3章:【重要】北海道特有の環境で失敗しないための「鉄則」
太陽光発電は、全国どこでも同じ設計・施工ではありません。
特に北海道では、この2つの鉄則を守らなければ、投資が無駄になるリスクさえあります。
鉄則1:積雪を考慮した「設計・施工」の知見
北海道の自然環境は、太陽光パネルにとって非常に過酷です。
ただ頑丈な架台を選ぶだけでは不十分です。地域の最深積雪データを基に、雪の重みでパネルが埋没しない十分な高さを確保し、さらに雪が自然に滑り落ちる最適な角度をつけて設置する設計が不可欠です。この設計が甘いと、冬場の発電量が著しく低下するだけでなく、落雪事故の原因にもなります。
例えば、H鋼を使用することで、風や雪などに対する耐久性が高まり、草刈りなどのメンテナンス作業も容易になります。さらに、地面からパネルまでの高さを1,800mmに上げることで、積雪がある地域でも安心です。
鉄則2:北国の電力需要パターンを読み解く「緻密なシミュレーション」
自家消費型太陽光発電は、発電量と消費量のバランスが命です。
特に、発電した電気をすべて自社で使い切る「完全自家消費」モデルの場合、発電量が消費量を上回ってしまうと「逆潮流」という現象が起こります。
これは、自社の電気が電力会社の送電網へ逆流してしまう現象で、最悪の場合、保護装置が作動し、工場全体の停電を引き起こすリスクがあります。
これを防ぐには、365日24時間の電力使用データを基に、以下の北海道特有のパターンを考慮した精密なシミュレーションが欠かせません。
- 冬の暖房需要で電力消費がピークになる時間帯
- 夏の冷房需要(本州よりは少ないですが、近年は無視できません)
- 工場の稼働が完全に止まるお盆や年末年始などの長期休暇
このシミュレーションの精度が、導入成功を決めると言っても過言ではありません。
第4章:よくある質問(FAQ)
Q1. 本当に冬でも発電するのですか?
A1. はい、日照さえあれば冬でも発電します。
もちろん、日照時間が短く、積雪の影響もあるため、発電量は夏に比べて減少します。
しかし、北海道は梅雨がなく、夏は涼しくてパネルの発電効率が落ちにくいため、年間を通した総発電量で見れば、本州の多くの地域と遜色ない発電量が期待できます。
重要なのは、冬の発電量低下をあらかじめ織り込んだ、正確な年間シミュレーションを行うことです。
Q2. メンテナンスや除雪は必要ですか?
A2. 適切な角度で設置すれば、ほとんどの雪は自然に滑り落ちるため、積極的な除雪は不要なケースが大半です。
メンテナンスについては、専門業者による定期点検(数年に一度の機器チェックなど)が推奨されます。費用は導入モデルや規模により異なります。
Q3. どんな建物でも設置できますか?屋根の強度が心配です。
A3. 設置前には、専門家が屋根が太陽光パネルの重量に耐えられるかを確認します。
築年数が古い建物や、特殊な構造の屋根の場合は設置が難しいこともありますが、まずは専門家による現地調査が必要です。
強度に問題がある場合は、屋根の補強工事と合わせて導入を検討することもあります。
まとめ:自家消費型太陽光を活用したエネルギー対策は、持続可能な経営への第一歩
これまで見てきた通り、自家消費型太陽光発電の導入は、もはや単なるコスト削減策ではありません。
外部環境の変化に揺らがない経営基盤を築き、取引先から選ばれ続ける企業になるための、重要な「経営戦略」と言っても過言ではありません。
積雪などの北海道ならではの課題に対しては、正しい知識と技術・経験が豊富にある弊社にお任せください。
さらに成長を加速させるための第一歩を、今こそ踏み出してみませんか。
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